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『ペストと交霊術』冷えてます!!

 こんにちは。『ペストと交霊術』脚本の遠藤良太です。まずは、簡単に自己紹介から。僕は、1997年、「スピーカー370(サンナナゼロ)」という劇団の座付作家として、脚本書きをはじめました。その後、劇団名は「cube united works」、「ウィルソン一家」と変わり、2007年の『ミランダ あるいは、マイ・ランド』をもって演劇活動から一旦離れました。

 Ne’yankaの主宰、両角葉は僕の芝居をかなり初期の頃から観ていて、公演の打ち上げのレギュラーでもありました。そんな両角葉は、僕が演劇を離れた後も、ことあるごとに僕を酒の席に誘い出し、一緒に芝居をしようと誘い続けました。その一番の動機が『ペストと交霊術』だったと聞いています。

 この両角葉が観た『ペストと交霊術』は2004年に上演したもので、これまでの僕の作風とも言える、SF的設定や多くの専門用語、小難しい言い回し、ドンデン返しなどを捨てて挑戦した初の恋愛に関するお芝居です。ただ、ここに交霊術という怪奇的な要素が入るため、普通の恋愛劇とは趣が異なります。ホラー・テイストさえ嬉々として入れました。

 この作品、嫌いな人は嫌うのですが、当時、妙に女優さんに人気がありまして、やってみたいという方が多かったのを覚えています。ちなみにこの戯曲を最後に、2016年の『死刑台の上のイヴと電気箱の偶然の出会い』(Ne’yanka2作目)まで12年間、オリジナルの戯曲を1本も書いていないわけで、なにか、この戯曲で達成したものがあったのだなと密かに回想しています。

 さて一方、両角葉は、この作品に熱い思いがあり、最終的に僕を口説き落とし、Ne’yankaを旗揚げし、2016年『黒い二、三十人の女』の再々々演、『死刑台の上のイヴと電気箱の偶然の出会い』の初演とNe’yankaを軌道に乗せ、ついに今回『ペストと交霊術』を上演することになったというわけです。今回は、舞台設定だけを残し、完全に新しいものとして再創造しました。新作なので、タイトルを変えてもよかったのですが、このタイトルが割と好きだったので、そのまま使うことにしました。

 物語は、ウーヴェルテュール家(読みにくい)のリビングルームを舞台に進んで行きます。この家には、アルマンドとカナリーという二人の姉妹が住んでいます。『毒薬と老嬢』や『欲望という名の電車』、『何がジェーンに起こったか』、『八月の鯨』などあげるまでもなく姉妹モノは独特の緊張感が漂うのが良いですよね。

 この姉妹だけの家に、何故か次から次へと人がやってきます。アルマンドに言わせれば、「死体候補」です。そしてある人物の死がこの居間を悲劇と喜劇に満たしていきます。モームの『カジュアリーナ・トリー』、O・ヘンリー『眠りとの戦い』などの要素もチラチラと現れますが、重要なのはカミュの『ペスト』。タイトルにある「ペスト」とはなんなのか、ここにヒントが隠されています。多くの客人がいる屋敷で死人が出るのですから、推理劇のフォーマットも踏襲しています。ただ、観ていただくと、サスペンスとも推理劇とも違う、恋愛劇ともホラーとも違う、いつまでも続く詩のような、無目的で、いびつで、冷笑的で、ほろ苦い物語が展開していきます(よく分かりませんね)。

 素晴らしいフライヤーも作っていただきました。万全のスタッフ陣、畏れ多い役者陣も揃えていただきました。あとは皆様に劇場にお越しいただくだけです。自分で言うのもなんですが、15年も前の作品を覚えていてもらえるというのは稀なことです。それだけの魅力がこの作品にはあるということかもしれません。是非、ウーヴェルテュール家(読みにくい)で起こる何かをその目でご覧ください!暑い時期ですが、ちょっと体が冷えること間違いなしです!!

今作の詳しい解説は、遠藤良太のホームページをご覧いただければと思いますが、ネタバレもあるためお気をつけ下さい。 http://coollab.jp/

ticketはこちらから!スマートフォンアプリ「演劇パス」をダウンロードの上、ご購入ください。

●演劇パス http://engeki.jp/pass/events/detail/432


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