黒い二、三十のこぼれ話 その壱

今回の作品を作るにあたり、一番苦労したのはキャスティングです。 「演出の8割はキャスティングで決まる」と言われるくらい、キャスティングは大事です。 すでに本もあるので「当て役」といった方法はできませんし、自分の作りたい世界のために妥協もできません。
そんな中、これだけ素晴らしい俳優陣が揃ったことは、我がことながら、誇らしく思っています。
明確な意思をもって役を演じられる俳優が集まったことで、架空でありながらリアルなシュピーレン大公国を作り上げることができました。
これだけ実力と実績を兼ね備えた俳優たちが、旗揚げで、しかも演出経験のない演出家の作品に出演していただけるとは、正直、驚きもしました。
この作品を愛しているという共通意識が、全員をまとめあげていたと思います。
勇気と知性と思いやりと楽しむ心を持った、素直で美しい俳優陣でした。
そして、なにより、演劇を愛している気持ちに感服しています。
全面信用で演出に取り組めたこと、本当に心から感謝しております。