

黒い二、三十のこぼれ話 その壱
今回の作品を作るにあたり、一番苦労したのはキャスティングです。
「演出の8割はキャスティングで決まる」と言われるくらい、キャスティングは大事です。
すでに本もあるので「当て役」といった方法はできませんし、自分の作りたい世界のために妥協もできません。 そんな中、これだけ素晴らしい俳優陣が揃ったことは、我がことながら、誇らしく思っています。 明確な意思をもって役を演じられる俳優が集まったことで、架空でありながらリアルなシュピーレン大公国を作り上げることができました。 これだけ実力と実績を兼ね備えた俳優たちが、旗揚げで、しかも演出経験のない演出家の作品に出演していただけるとは、正直、驚きもしました。 この作品を愛しているという共通意識が、全員をまとめあげていたと思います。 勇気と知性と思いやりと楽しむ心を持った、素直で美しい俳優陣でした。 そして、なにより、演劇を愛している気持ちに感服しています。 全面信用で演出に取り組めたこと、本当に心から感謝しております。


公国の消失。
Ne'yanka旗揚げ公演「黒い二、三十人の女」無事に終演いたしました。 まずはご来場いただいたお客様に感謝を! 300人近いお客様と一緒に同じ世界を見ることができたのは、本当に幸せな時間でした。 1カ月の短い稽古期間でありながら、とても濃密で何年間もかけて作った世界のようにも思えます。 シュピーレン大公国という架空の王国を現実世界に生み出せたことが何より嬉しい。 みなさまの心に少しでもシュピーレン大公国の記憶が刻まれていますように。。。


ベランダから。
今回の稽古場は部屋が二つ使えるので、広い部屋で稽古、隣の少し小さい部屋は自主稽古場となっています。 二つの部屋はベランダでつながっているので、隣の部屋から移動してきた人が窓から入ってきたりして、ちょっと面白いんです。 なので、こっそり、自主練の様子をベランダからパチリ。 みんな、熱心にセリフを合わせておりました。 この快適な稽古場とも本日でお別れ。明日はついに小屋入りです。 ここからが正念場。まだまだ粘って、がんばりましょう☆


ちらっと。
the 8th galleryにて通し稽古を行いました。 CLASKAの大槻さんが初のお客さんとなりました。 (写真も大槻さん撮影) 人に見ていただくと緊張しますね。 つい、チラチラ顔色をうかがっていたかも・・・ だいぶ私はギャラリーに馴染んできて、最初は広く感じていたスペースが、なんだか狭くも感じられるようになったりして。不思議。 真っ白い壁に、どんな色が見えてくるのか。 Ne'yanka「黒い二、三十人の女」初日まで、あと1週間!! Ne'yanka「黒い二、三十人の女」 2016年4月22日~25日


エピグラフ
「黒い二、三十人の女」の脚本は各場にエピグラフがついています。 このエピグラフがシーンを作るときに参考になるので、お気に入り。 twitterでも公開しています。 私が一番好きなエピグラフは、「高い志にもかかわらず、自分でも嫌っている殺戮と惨禍を引き起こすのは、いつでもこういう純粋な信念の人、宗教的で夢中になる人、世界を変革し改善しようとする人であろう」―シュテファン・ツワイク『ジョゼフ・フーシェ』 世の矛盾を感じますね、このエピグラフ。 誰もが自分の信じるもののために生きているのに、それが悲劇を生むこと。 この悲劇を食い止めることは、人間の課題だと思っています。


The 8th Gallery へ
会場となるThe 8th Galleryでの稽古でした。 たまに芝居が場所にのまれてしまうこともありますが、この場所は芝居の力を広げてくれます。 屋上でごはんを食べたり、空が青からピンク、紺に代わっていくのを眺めながら芝居をしたり、気持ちのいい1日でした。 みんなも場所に馴染んできてて、良かった、良かった。 「不思議の国のアリス」では「時間と仲良くしておけ」っていう話が出てくるけど、私は「時間と場所と仲良くしておけ」って思います。 どちらも味方にしておいて損はありません。


稽古10日目
歌の稽古です。嘘です。備品フル活用の稽古場です。 私は場所の空気に左右されてしまうので、 落ち着かないところだと、混乱してしまいます(霊感ではない)。 その点、今回は自分のホームで稽古しているので、集中できるし、安心しきっている。 俳優陣には遠い中通ってもらって申し訳ないのですが、安全な場所なので、リラックスしてもらいたいなぁ。場所の安全性、とても大事。 特に演技をしているときの俳優は、神経が敏感になっているので、不安要素はなるべく取り払ってあげたいです。 稽古を重ねてきて、だんだん、みんなのことがわかってきた気がします。 共通しているのは、全員、芝居に対して真摯で真面目。 当たり前のことなのですが、その姿勢が、みんな似ているように思います。 この「黒い二、三十人の女」という本が、素晴らしい俳優を集めてくれたこと。まずは脚本に感謝する毎日です。


稽古8日目
稽古も8日目となりました。日が経つのはあっという間。 この日は鏡張りの部屋での稽古です。 今回の「黒い二、三十人の女」には、「鏡」という意味の名前を持ったキャラクターも登場します。 ●●語に詳しくないと、なかなか気付けないと思うのですが、どの役にもちゃんと意味のある名前がついていますので、観劇の際は役名も気にしながら見てみると面白いかと思います。


全員集合☆
絶賛、稽古中の「黒い二、三十人の女」 顔合わせ以来の全員集合での本読み大会でした。 俳優陣も演助も、ものすごく本を読みこんできてくださるので、作品の世界がどんどんどんどん広がり、深くなっていくのを感じました。 誰よりもこの本を理解していなくてはいけないのが演出家なのですが、役者が生み出すもので初めて気づけることも多く、それが嬉しくて、楽しい。 衣装合わせをしたことで、さらに役者陣も作品世界に対してイメージを広げることができたのではないでしょうか。 私の稽古は、休憩時間がほとんどないので、役者陣は疲れるだろうなぁと思うのですが、ケロッとした顔でついてきてくれるので頼もしい。稽古している時間が幸せなので、ついつい欲張ってしまいます。みんなもそうだといいなぁ。 今日は数少ないオフ。しっかり休んで、明日からまた元気に世界を構築していきましょう。